NPO法人自然科学研究所
理事長 小谷宗司
国立大学法人 信州大学農学部元特任教授
公益社団法人東京生薬協会理事長
春の時期、私たちを悩ますのがPM2.5、黄砂、花粉の大気飛来物質です。
PM2.5とは、空気中に浮遊する直径2.5㎛(マイクロメートル)以下の粒子状物質の総称であり、2013年頃から話題に上がり始めました。その主な成分は、人間活動によって排出される大気汚染物質とされています。当時、経済発展のめざましい中国大都市部では、環境対策が後手に回り、大気汚染問題が深刻化していました。 これらの中国の大気汚染の一部が、偏西風の風下地域ある日本に飛来することがわかり、超境大気汚染の問題が社会問題化しました。特に、PM2.5の飛来が顕著なのは、移動性の高気圧や低気圧が交互にやってくる春の季節です。
黄砂とは、乾燥地域の砂塵が、強風により上空に巻き上げられ、空中を漂い地上に降り注ぐ砂塵そのもののことです。 中国大陸内陸部(ゴビ砂漠・タクラマカン砂漠など)で巻き上げられた砂や鉱物粒子が、偏西風によって日本まで広がって来る自然現象です。
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が体内に入ることで、免疫反応が過剰に起こり、アレルギー症状を引き起こします。その症状は主に、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみや涙目などで、重症の場合は、咳や肌荒れ、頭痛、疲労感が現れることもあります。

これらの異物は、私たちが呼吸することにより体内に侵入した結果、様々な疾患を考えます。健康な人であれば、PM2.5が多少環境基準を超えた空気を吸ったところで、ただちに健康を害することはないと考えられますので、あまり神経質になりすぎる必要はありません。 ただPM2.5は黄砂に付着し、健康被害をもたらすという厄介な物質でもあります。いずれも気象庁その他から飛散予想が行われていますので、このような予測に基づき対策をすることが大切です。
対策として、マスクや眼鏡の着用、うがい・手洗い・洗顔を行うといった処置をとることが挙げられます。
基礎疾患を抱えている人や小さなお子さん、高齢者はPM2.5濃度の濃い日はなるべく外出を控えるのがよいでしょう。閉じ込められていた冬の日から解放されるのは、春の日、特にうららかな天気です。戸外を楽しんでいて、気が付いたらアレルギー・呼吸器疾患になっていたということにもなりかねません。どうか、今回の記載内容をご認識いただき、しかるべき対策を取っていただければと願っています。
健康人生Vol.46