ジメジメした梅雨が終わるといよいよ夏本番です。
草木の勢いが増して生命力に満ち溢れる季節、活発に動きたい時期ですが年々暑さが厳しくなり体調管理をしていくのにもいろいろ準備が必要になってきました。
日頃の体調管理で体に出るダメージの大小に大きな差が出ます、今回は古くから夏に重宝されてきた「びわ」について書いていきます。
びわってどんな植物?
「びわ」は中国原産のバラ科の常緑高木で、日本では比較的温暖な地域で広く栽培され、葉の形が楽器の琵琶(びわ)に似ていることからその名がつけられたと言われています。日本でも1000年前には利用されており、晩秋から初冬に花が咲き、初夏に実がなります。
古来より、びわの木には様々な薬効がある事で知られており、古い仏教経典では「大薬(だいやく)王樹(おうじゅ)」という名で紹介されています。中国の言い伝えでは「びわの木があると病人がその葉を求めて列をなした」といわれ、びわは病人を呼ぶので縁起が悪いとまで言われるようになりました。
種をまけば簡単に発芽し、10年弱で人の背丈を超えるほどになり、寒い季節に果敢に花を咲かせるびわはとてもたくましい植物です。
びわの成分と効能
薬用には主に乾燥した葉や果実を利用しますが、その葉は「無優(むゆう)扇(せん)」※と呼ばれさまざまな用途で活用されてきました。※無優扇---どんな憂いも癒す扇のような葉
〇咳止め/胃腸のケア効果
びわ葉にはサポニン、タンニン、ビタミンB1が含まれており、咳止めや食あたり、胃炎を和らげる効果が期待されています。
〇体の水分調整
びわ葉には体の余分な水分を排出する作用があり、むくみの改善に良いとされます。
〇鼻の不調に
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)という漢方にも配合されており、鼻づまりの解消や鼻の炎症緩和に用いられます。
〇生活習慣病の予防/改善
びわ葉に含まれるビタミンCやクロロゲン酸、タンニンは血中の悪玉コレステロールを減少させると言われており、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防や改善に効果的であると考えられています。
びわに副作用はあるの?
びわに含まれるアミグダリンが青酸(シアン)に変化することをとり、中毒症状を引き起こすと言う記載がよく見られますが、アミグダリンはびわの種子に多く含まれ、びわの葉には微量に含まれる程度です。
またその微量のアミグダリンにも鎮咳去痰や鎮痛作用のある有効成分という一面もあります、基本的にびわ茶は極端に大量摂取をしない限り安心してお飲み頂けます。
晩夏の季語「琵琶(びわ)葉(よう)湯(とう)」
江戸時代には、乾燥させたびわの葉と肉桂(シナモン)・ガジュツ・甘茶などを合わせて煎じた「琵琶葉湯」が京都烏丸を発祥として全国に広まり、庶民の暑気払いの飲み物として大ブームになり、天秤棒で荷を肩にした琵琶葉湯売りが夏の町を流し歩いている姿はかつての夏の風物詩、「琵琶葉湯」は現在も晩夏の季語として親しまれています。
びわのビタミン/ミネラル/ポリフェノールなどの有効成分が感染症の予防、アンチエイジング、疲労回復などの効果は古くから知られ、活用されていたのですね。
びわの活用法
〇びわ湯
びわ葉茶を煮出して入浴剤にして、葉を洗濯ネットなどに入れて湯船にいれると神経痛や筋肉痛などに良いとされています。
〇ビワの葉エキス
びわの葉に含まれるタンニンには殺菌作用があり、煎じた汁をあせもや湿疹に塗ると肌の炎症予防/改善に効果があると言われています。
また、タンニンの殺菌作用で腸内の悪玉菌が減少して、悪玉菌による下痢を予防するとされます。
〇びわ葉湿布
裏毛をとったびわの葉(乾燥していなくてもOK)を何枚か少しずつ重ねて葉のつるつるした表面を肩や腰の痛むところにあて上からカイロなどで温めると、ビワの葉の成分がゆっくりと皮膚から吸収されて痛みを和らげてくれます。市販の湿布よりもかぶれにくいという声もあるようです。
こんな人におすすめ
〇暑さに弱い/熱中症になりやすい
〇夏風邪をひく
〇鼻炎/痰がからむ
〇生活習慣病が気になる
〇あせも/湿疹ができる
〇アンチエイジングに興味がある
まとめ
いかがだったでしょうか?
びわは古くから親しまれ、人々の暮らしに欠かせない存在だったようです。
夏の水分補給をしながら咳/痰、胃腸の不調、下痢、生活習慣病まで小さな不調からほっておくと大変になってしまう不調まで、まだ病気になる前の未病の段階でびわを取り入れていくと良いかもしれません。