国産ハーブ「クロモジ」とウイルス

国産ハーブ「クロモジ」とウイルス

Jul 09、2025えんめい茶本舗スタッフ

NPO法人自然科学研究所 理事長 小谷宗司
国立大学法人 信州大学農学部 元特任教授
公益社団法人 東京生薬協会 理事長


クロモジという生薬

 クロモジは本州から九州、中国に分布、山地に自生するクスノキ科の落葉低木です。 和名は樹皮に黒い斑点を文字に見立て、「クロモジ(黒文字)」という名前が付けられました。薬としての利用では「チョウショウ」という生薬名で用いられます。枝葉に芳香があり、その油が香水の原料として活用されるほか、高級爪楊枝にも活用されます。

ウイルスに対抗する免疫力

 私達には周りに有害な細菌やウイルスがあふれています。 健康的な日常を送れるのは、体に備わっている免疫機能が重要な役割を果たしています


 

クロモジとウイルスの研究成果

 信州大学の河原準教授と養命酒株式会社との共同研究の成果として、クロモジがインフルエンザウイルスの増殖を抑制できることが分かりました。その結果、細胞への吸着・侵入が起きている「感染開始から1時間後」までの時間帯で、クロモジエキスを作用させると、全く作用させない場合と比較して99.5%以上という高い確率で、ウイルスの増殖を抑制できました。


 また、愛媛大学附属病院に勤務する看護師ら男女134名を対象に、二重盲検試験を実施したところ、クロモジ毎日エキスを12週間、3回摂取したグループより、インフルエンザ感染者数が慎重に少ない結果になりました。 ヒト試験は、クロモジエキスがウイルスを
 不活化するだけでなく、細胞に感染したウイルスの増殖を抑制する効果が明らかになったことを受けて実施されたものです。

 ウイルスは細胞内の活性酸素を増やし、細胞を弱らせることで増殖するが、クロモジエキスに含まれるポリフェノール「プロアントシアニジン」は、細胞内の抗酸化酵素を活性化させ、活性酸素を中和することで、間接的にウイルスの増殖を抑えます。この抗ウイルス作用は非特異的なので、インフルエンザに限らず、ノロウイルスやロタウイルスなどの感染に対しても予防が確認されました。


まとめ

 2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、季節性インフルエンザと同じ「5類」に指定されています。しかしながら高齢者や基礎疾患というリスクを抱えた方々には、持続して基本的な予防策が求められます。自分に合った予防策を見つけ、普段から免疫力を高める生活を心がけていきたいものです。

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