雲南省は、中国南西部に位置し、四川省、貴州省、チベット自治区、ミャンマー、ラオス、ベトナムと国境を接しています。主要都市には昆明(省都)、大理、麗江、曲靖、文山などがあり、苗族やイ族などの少数民族文化と豊かな自然景観、それらの少数民族の村落が点在しています。
その雲南省の朝食メニューは、米粉ウドン。その名前は「米線」と呼ばれる麺を茹でて、そこに鶏ガラのスープをかけたシンプルなものですが、これに薄切り肉(豚肉、鶏肉、牛肉など)、茹でエビ、野菜(白菜、もやし、青菜、しいたけやきのこ類)、ゆで卵、香菜(シャンツァイ):香草やネギの刻み、香味料(ピクルスやニンニク、唐辛子、酢などの調味料)を熱々のスープに入れて食べるのが基本です。塩と砂糖を加えて味の調整も行なって食べます。
このスタイルの朝食は、ベトナム・ラオス・カンボジアなどのインドシナ三国やミャンマーでも、同様のヌードルスタイルが食べられていますが、麺の太さやスープの出汁の取り方が若干異なるようです。 ちなみに名称も、ベトナムはフォー(Ph ở )、ラオスはカオピヤック( Khao Piak )、カンボジアはクエ・トレイ( Kuy Teav )、ミャンマーはモヒンガー( Mohinga )とそれぞれの呼び方があります。朝食は、屋台などで食べるのが当たり前となっており、その街々の喧噪も調味料と思われるほどです。
さて雲南省文山は、薬用人参としても名高い『三七人参(さんしちにんじん)』の中国は、もちろん世界でも唯一の生産地です。「金不換(きんふかん)」とも呼ばれるほどの希少な原料ですが、捨てるところがないほどで、現地では根はもちろん、花や根のひげ、茎、葉を全ての食材や薬材として用いられています。当に医食同源・薬色同源の実践ですね。
三年~七年の歳月を経て栽培される希少な原料だからこそ、大切にすべてを活用する姿に、この植物への苗族の人々の思いが込められいることを実感します。