「三七人参」の歴史と研究

「三七人参」の歴史と研究

Apr 19、2024狩野さとい

 私たち黒姫和漢薬研究所が「三七人参」の研究を京都薬科大学と共同で始めたのが約30年前。当時国内では、ほとんど知名度はなく、原料調達も大変でした。何度も栽培地:雲南省文山に足を運び、現地での栽培状況を確認しながら、京都薬科大との研究で「三七花」と呼ばれるその人参の花部「三七花」にある新規有効成分を発見し「成分特許」を2007年10月に取得しました。そんな「三七人参」に関しての研究と歴史を紹介していきます。

 

人参の王様「三七人参(田七人参)」の歴史

三七人参(田七人参)はウコギ科ニンジン属の多年生植物で、高麗人参と植物分類学的には同じ仲間ですが、共通の有効成分のサポニン含有成分は高麗人参を遥かに上回り、7倍あり、その花は人参の4倍もあります。しかし、それを口にできたのは貴族や特権階級の人だけに限られていたほど高価なもので、珍重されていました。それだけ稀少なものであったため、黄金に換えられないほど貴重なものという意味の「金不換」と呼ばれていました「お金にかえられない幻のもの」だったのです。

長年国外輸出を禁止していた貴重品

実は高麗人参などに比べると認知度は高くありませんでしたが、ベトナム戦争時に、消炎効果や止血作用のある薬草として三七人参が北ベトナム軍に送られ、戦場で大きな効果を上げたことから、世界にその効果が広く知られるようになりました。1971年、周恩来首相の指示で三七人参(田七人参)は庶民にも開放されました。しかし、中国政府は、その効果の高さと稀少性を理由に、長年に渡り三七人参(田七人参)の国外への持ち出しを禁止してきました。原料としての輸出は1960年代の初頭から行われていたものの、製品の輸出は中国政府によって許可されておらず、1977年輸出が認められて、初めて三七人参(田七人参)を使った商品が日本にやってきました。

 

長期間に及ぶ栽培

三七人参(田七人参)を稀少なものとしているのには、種を蒔いてから収穫できるまでに3年という歳月を費やさなければならないことと、栽培の管理の難しいことが挙げられます。三七人参(田七人参)の産地・雲南省では三七人参(田七人参)だけで約6600万平方メートルの畑が広がっていますが、三七人参(田七人参)は一つの株で病気が発生すれば、1週間で畑全体に病気が伝染してしまうほど弱い植物でもあり、土の中で根に病気が発生しているのに気付かなければ、畑の全滅や、収穫してみたら根の中が空洞になっていることもあります。 もちろん、収穫までの時間を長くすれば、長くするほど、根自体も大きくなり、グラムも増えるため1個当たりの売値は上がりますが、その分、栽培コストがかかります。3年という歳月をかけて全滅の可能性のある三七人参(田七人参)を栽培することは、大変な苦労があると同時に大きな賭であり、かつては、三七人参(田七人参)を盗難から守るために畑の周囲に地雷を仕掛けていたという逸話もある程です。同じ土地で二度と栽培できない言われるほど三七人参(田七人参)の根が土壌の養分をすべて吸収してしまうため、次々と圃場を開拓し転作し栽培していきますので、広大な土地が必要となります。

体を健康に保つために欠かせない三七人参の有効成分

サポニン
三七人参に含まれる最も重要な成分の一つであり、数種類のサポニンが確認されています。サポニンは体内の代謝や免疫機能の調節に役立ちます。三七人参が免疫系の機能を向上させ、体の抵抗力を高めるのに寄与する重要な要素です。

ポリサッカライド
三七人参には多糖類の一種であるポリサッカライドが豊富に含まれています。ポリサッカライドは、免疫機能をサポートし、体内の炎症を軽減する効果があるとされています。また、抗酸化作用も持ち、細胞の健康を保つのに役立ちます。 アミノ酸: 三七人参にはさまざまな種類のアミノ酸が含まれています。これらのアミノ酸は、体内でタンパク質合成に必要な栄養素であり、細胞の修復や成長に不可欠です。

ミネラル
三七人参には、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています。これらのミネラルは、骨の健康、血液の形成、代謝の調節など、体の機能を維持するために必要です。三七人参は伝統的に、体力回復や免疫力向上、消化器系の健康維持などに役立つとされています。

有機ゲルマニウム
地球の地殻に含まれる『有機ゲルマニウム』の成分を、三七人参は何年もかけて吸収する。抗酸化作用により、有機ゲルマニウムは体内の酸化ストレスを軽減し、細胞や組織を保護するとされています。さらに、インターフェロンを増強することによる免疫調節作用によって免疫機能の向上を促すとされ、様々な治療に関する研究が行われています。

 

まとめ

今回は三七人参の当社の研究と歴史を紹介させていただきました。 今日では、その有効性が科学的にも認められ、ますます注目を集めています。最後に、三七人参の今後の展望に関してご紹介しまとめとさせていただきます。

  1. 健康補助食品としての需要の増加
    近年、健康志向の高まりと共に、自然由来の健康補助食品への関心が高まっています。三七人参は、その抗酸化作用や免疫力向上効果などから、健康補助食品としての需要が増加しています。特に、ストレス社会や加齢による健康問題への対策として、三七人参を利用する人々が増えています。


  2. 医薬品としての応用拡大
    三七人参に含まれる有効成分には、血液循環の改善や抗炎症作用などがあり、これらの効果を活かした医薬品の開発も進んでいます。心臓血管疾患や糖尿病、関節炎などの治療薬としての応用が期待されています。さらに、抗がん作用や記憶力向上効果など、さまざまな研究が行われています。 国際市場での展開: 三七人参は、中国をはじめとするアジア地域で古くから利用されてきましたが、最近では国際市場でもその価値が認識されています。特に、欧米諸国での漢方薬や自然療法への関心の高まりを受けて、三七人参製品の輸出が増加しています。


  3. 持続可能な栽培と保護
    三七人参は、天然の山岳地帯に自生する貴重な植物であり、過剰な収穫や乱開発による生息地の破壊が懸念されています。持続可能な栽培や保護活動が必要とされ、中国政府や関連団体もその取り組みを進めています。 総じて、三七人参はその優れた健康効果や医薬品としての応用性から、今後ますます注目を集めることが予想されます。しかし、持続可能な利用と生息地の保護についても同様に重要な取り組みが求められます。

 

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