疲れているのにどうしても眠れない…。夜中に何度も目が覚めた…。といった経験は誰にでもあることでしょう。一過性の不眠は珍しいことではありませんが、不眠が慢性していくと心身に不調が生じてきます。
睡眠は、どの年代においても健康増進・維持に不可欠な休息活動であり、脳や体の休息以外にも記憶の整理、感情安定、疲労回復などの重要な役割を担っていることがわかっています。
日本の睡眠レベルは?
現代社会では夜型化と短時間睡眠化が進行し、日本人の平均睡眠時間は先進国で最低レベルの6時間18分。この100年で1.5時間以上短縮したと言われています。世界でもまれにみる「寝不足大国」と呼ばれ、寝不足による経済損失は18兆円にも上るとも試算されています。
世界の平均睡眠時間(50か国以上の国を対象とした調査)
1位 :ニュージーランド7時間40分
2位 :フィンランド7時間37分
3位 :オランダ7時間37分
4位 :イギリス7時間33分
5位 :フランス7時間29分
最下位:日本6時間18分
ぐっすり眠れていますか?
理想の睡眠とは
人はいったい何時間眠れば良いのでしょう。睡眠は個人の体質や年齢、環境に大きく影響されるため、日中の眠気に困らなければ、睡眠時間にはこだわらなくても良いというのが専門家の見解です。しかし厚生労働省より発表された「健康づくりの睡眠ガイド2024」の指針では、小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間、成人で6~8時間、高齢者で床上時間が8時間以上にならないことを適正な睡眠時間としています。
睡眠と病気との関係
睡眠不足は、日中の眠気や疲労に加え、頭痛や情緒不安定、注意力や判断力の低下による作業効率の低下、学業の成績の低下など、さまざまな影響を及ぼします。
慢性化すると、代謝異常・免疫力低下といった身体疾患、うつ病や不安障害など自律神経機能に影響を及ぼす精神疾患、がんや糖尿病、高血圧などの生活習慣病、認知症など、さまざまな疾病の発症リスクを高めることが各方面の研究結果から明らかになってきています。
また十分な睡眠時間を確保していても「睡眠時無呼吸症候群」という病気が原因になっているケースもあります。たかが「いびき」と思われがちですが、夜間の呼吸停止によって血液中の酸素が低下し、中途覚醒が何度も発生し、代謝異常(インスリン抵抗性)や血管収縮などの生活習慣病が進み、身体的負担が甚大なのです。高血圧・心不全・虚血性心疾患・脳血管障害・糖尿病などに罹りやすくなります。
眠れない原因は?
眠れない原因は様々ですが、不安や緊張などのストレス、睡眠前の行動、ライフスタイルの多様化による生活リズムの乱れ、光・温度・音などの睡眠環境、加齢、病気、アルコールやカフェインなどによる食生活、女性ホルモンの変動、スマホなどが挙げられます。
長期にわたる睡眠不足は、私たちの健康を大きく、そして静かに蝕みます。睡眠不足を放置せず、普段の自分の睡眠環境や睡眠時間、睡眠の質など、もう一度ご自身の睡眠に向き合ってみてはいかがでしょうか。
睡眠の質は変えられる!
日頃から出来ることをチェックしましょう。
☑太陽の光を浴びる
☑朝食をしっかり摂る
☑日中は運動をし、長時間の昼寝は避ける
☑夜更かしの習慣を避ける
☑寝室環境を見直す
ぐっすり眠るために
自律神経を整え、副交感神経をスムーズにしていきましょう。
・夕方にストレッチや軽い有酸素運動をする
・温かい夕食で体温を上げる
・就寝2時間前に、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
・アロマでリラックスする
・ツボ押しを行う
・寝る前に温かい飲み物を飲む
・ゆっくり深呼吸をする
温かいお茶を飲む
寝付ける時刻は、季節や日中の活動量などによって変動しやすいものです。どうしても犠牲になりがちな睡眠を、お茶で改善してみませんか?