日本では昔から、自然の恵みを生かした薬草が民間伝承薬としてさまざまに利用されてきました。では、日本にはいったい何種類の薬草があるのでしょうか?その数は「350種から700種」と幅広く言われています。ここでは、なぜ数に幅があるのか、また薬草にまつわる豆知識を詳しく解説します。
「薬」という言葉の語源
までは「薬」という言葉の語源に関してです。「くすり・・・くすり・・・くすり」と口に出してみると正解がわかるかもしれません。薬という言葉の由来、実は「草を煎じる(草煎り)」という説があります。古来、日本では野山に自生する草を煎じて飲み、不調の改善や治療に役立ててきました。「薬」という漢字には草冠が含まれていますが、これも「草を用いた療法」から来ているとされ、日本における薬の起源は自然の植物にあることを示しています。
薬草の定義の違い
薬草には、病気や不調を和らげる効能を持つ植物全般が含まれます。伝統的な薬草の中には民間療法として使われてきたものが多く、例えばヨモギやゲンノショウコは古くから親しまれてきました。一方で、最近では研究によって効能が確認されたオオバコやサンショウなども薬草として見直され、薬草と見なす植物の範囲が広がっています。何を薬草とするかの定義が変わることで、種類数に差が生まれているのです。
地域ごとの薬草利用の違い
日本は多様な気候と地形を持ち、地域ごとに異なる薬草の利用法が伝承されています。たとえば山間部ではヨモギやドクダミがよく使われ、沿岸部では別の植物が薬効を持つものとして利用されてきたこともあります。同じ植物でも地域によって呼び名や使い方が異なるため、薬草の種類数に幅が出る要因にもなっています。
新たな薬効の発見と分類学の進展
研究の進展により、以前は薬草として考えられていなかった植物にも薬効成分が発見されることが増えています。普段の食材として利用される植物も、薬効が明らかになれば薬草として扱われることがあります。また、植物の分類も進化や研究によって変わり、薬草の側面が見直される植物が増えることで全体の数も増加傾向にあります。
栽培種と野生種
日本には栽培される薬草もあれば、野生で自生している薬草も多くあります。栽培種は数が把握しやすいですが、野生種は地域ごとに異なり、認知度がさまざまで、数にばらつきが生じやすくなります。日本の山野には数え切れないほどの植物が生息しており、地域ごとに異なる薬効を持つ植物も少なくありません。
日本の代表的な薬草
日本でよく使われる薬草には以下のようなものがあります:
- ヨモギ(Artemisia princeps):お灸や整腸作用に使われ、身体を温める効能もあるとされる。
- ドクダミ(Houttuynia cordata):解毒や抗炎症に効能があり、腫れや皮膚炎に利用される。
- ゲンノショウコ(Geranium thunbergii):胃腸の調子を整え、下痢止めや消化不良に広く用いられる。
- センブリ(Swertia japonica):苦味が特徴で、胃腸薬や食欲増進に役立つ。
- ヒキオコシ(Rabdosia japonica):滋養強壮作用があり、疲労回復や体力増強に効果的。(別名:エンメイソウ)
- オウバク(Phellodendron amurense):キハダの内樹皮が利用され、解熱や利尿作用があるとされ、漢方薬にも使用される。
おわりに
日本にはさまざまな薬草が存在し、それぞれが地域に根ざした伝承や現代の研究成果をもとに利用されています。「薬」の語源が「草煎り」にあるとされることも、日本の薬草文化が長い歴史を経て今に伝わることを物語っているとも言えますね。