健康のための糖質制限が浸透する、最近話題になっている「糖化」。
アンチエイジングの大敵を言われている糖化について解説していきましょう。

肌の老化に関わる糖化とは
ごはんやパンなどの主食になる糖質(炭水化物)は、体にとって大切な栄養素の一つです。しかし過剰に摂取した糖質は、脂肪として蓄えられ、肥満につながることはよく知られていると思います。 この食事で取り込まれた余分な糖質(炭水化物)とタンパク質が、体内で熱によって結合し、AGEs(エイジス)という老化物質が作られる現象を「糖化反応(メイラード反応)」と言います。これは肌のハリや弾力の低下だけではなく、髪や骨など全身の老化を進行させ、糖尿病やがんなどさまざまな疾患リスクを高めると言われています。
糖化の原因
糖化の原因には、大きく分けて2つあり、体内での生成と、食事からの摂取です。
体内での生成は、過剰な「糖」の摂取により起こります。
食事からの摂取は、糖とタンパク質が加熱されてできたAGEsを多く含む食事からの摂取により、約7%が体外に排出されずに蓄積されます。例えば、ステーキやドーナツ、揚げ物やBBQといった食事です。

どんな不調が起こる?
AGEs(さまざまな種類の化合物の総称)が一度生成されてしまうと元には戻らず、体に蓄積され、体の各組織で炎症を起こし、健康面、美容面など広く影響を及ぼします。
これまでの研究により、AGEsの蓄積が多い人ほど、糖尿病や心臓病、アルツハイマー病、骨粗鬆症、がんなどの危険性が上昇し、老化の進行が優先で、寿命が短いことが報告されています。
シミ、シワ、たるみなどの肌老化
肌の弾力性が低下し、シミやシワの形成、くすみやたるみなどの肌の悩みにつながります。一度糖化が進んでしまって、その部分の肌細胞は元には戻りません。
血管
血管壁の弾力を失い、硬くもろくなり、血管壁に炎症が起こりやすくなります。血管内膜に損傷を引き起こし、コレステロールやその他の血管内の物質が付着しやすくなるため、動脈硬化のリスクが高まります。
脳
アルツハイマー病では、アミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積することが知られていますが、アミロイドβは糖化すると脳に沈着しやすくなり脳細胞の老化が進みます。
目
過度の糖化によって発症する代表的な病気が糖尿病ですが、その糖尿病患者の50%近くが糖尿病網膜症を発症します。水晶体が濁ることが主な原因の白内障も糖化反応です。
骨
糖質が大量に体内に摂取されると、中和するために体内のミネラル分が使われます。その際に最も多く消費されるのがカルシウムです。体内の骨や歯を溶かして供給されます。軟骨は弱くなり、骨粗しょう症や関節の変形を招きます。
腎機能の低下
AGEsの排出や蓄積抑制に重要な役割を果たしている腎臓。AGEsが体内に増加すると毛細血管が密集している腎臓はダメージを受けやすく、糖尿病性腎症を招きます。これは腎臓が血液をろ過する機能を失った腎機能は、一度低下してしまうと元には戻らず、人工透析が必要になります。
手足
手足の先にピリピリとした痛みや神経しびれが現れて末梢が糖分に侵されると、感覚が鈍くなる神経障害を招きます。
全身
高い糖分により血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が増加します。インスリン抵抗性が高まり、糖尿病の進行を促進する可能性があります。
糖化を防ぐための具体的な食生活
誰でも加齢に伴いAGEsは蓄積されますが、その度合いには個人差があります。一度糖化してしまうと、分解も除去も難しいため、体内への蓄積を抑える生活習慣が重要です。
・甘い清涼飲料水・ファーストフードを避ける
砂糖などの糖質の入った炭酸飲料や甘いものは、体内で急速に吸収され、血糖値を大幅に上昇させます。大食い・早食いに気を付け、適量摂取を心がけましょう。
・血糖値を上げない食べ方の工夫
野菜や海藻類など食物繊維が豊富な食材から食べて、肉や魚類のタンパク質、そしてごはんやパンの炭水化物の順に食べていきましょう。炭水化物メインの食事を避け、バランスよく組み合わせ、よく噛んでゆっくり食べることで、少しずつ消化・吸収されるため、糖質が血液に入る時間がゆっくりになります。
・焼き物、揚げ物は避け、茹でたり煮たりする調理法を置く
高温で揚げたり焼いたりする調理法は、AGEsが多く発生します。食品からのAGEs摂取量を極力減らすことが重要です。
糖化を防ぐための具体的な生活習慣
・ウォーキングなどの軽い運動を行う
基礎代謝を上げて糖を消費しやすく、代謝エネルギーの良い身体にしていきます。
・禁煙する
お酒やタバコは、体内での酸化ストレスと反応を促すと同時に、糖化を促します。喫煙は血管の収縮による血流の劣化を引き起こし、糖化によるダメージを高めます。
・ストレスをためない
ストレスが溜まると、ストレスホルモンがエネルギーをすぐに利用できるように、肝臓での糖の生成を促進し、血糖値を上昇させます。 長期的なストレスは、血糖値が常に高い状態になるため、糖化が促進されやすくなります。
・お茶を飲む
糖化を防ぐためには、抗糖化作用を持つ食品を積極的に摂取することが効果的です。
特にどくだみ茶、かきの葉茶、甜茶、グァバ茶、ルイボスティーには、強力な抗酸化作用を持つカテキンを多く含み、糖化反応を抑制する効果があります。日常的に摂取することで糖化のリスクを軽減することが期待できます。

まとめ
糖質は、炭水化物を構成する主要な栄養素であり、体の重要なエネルギー源です。摂りすぎに注意することで、さまざまな病気を防ぐためにつながります。毎日の生活習慣を見直し、日々意識することで、健康だけではなく、ツヤのお肌を手に入れる一歩になることでしょう。
