開発者狩野誠の長男として生まれた私にとって、えんめい茶は一番身近なお茶です。私の体はこのお茶によってできていると言ってもおかしくありませんね。
私が、一番お気に入の飲み方を紹介させていただきたいと思います。まず、一番は目覚めの一杯です。カップにティーパックを一包入れお湯を注ぎ、徐々に濃くなっていく風味を楽しみながら飲むのです。
ゆったりと飲んでいると、胃が温まり身体の奥から血が巡ってくる感触がとても気持ち良い時間となります。頭を覚ましたくてカフェインを欲する方もいるかと思いますが、胃から目を覚ますという感覚は、気の巡りという面でもお奨めです。東洋医学を説明する考え方の中に「気血水(き・けつ・すい)」論というものがあります。細分して体を見て病に対して対処法を考える西洋医学に対して、総合的に人間の体をとらえる東洋医学。その総合性を体系づけた考え方が先に記した「気血水」論なのです。例えば、 元気・エネルギーが足りていない状態を「気虚(キキョ)」、 ストレス過多が悪影響を及ぼしている状態を「気滞(キタイ)」と表現します。酸素や栄養が巡っておらず不足している状態を「血虚(ケッキョ)」、滞っている状態を「瘀血(オケツ)」と言います。さらに、潤いが足りていない状態を「陰虚(インキョ)」、どこかで滞って溜っている状態を「水滞(スイタイ)」といいます。これらは全て個々に生じるというよりも連関性を持っており、気虚もしくは気滞が、血虚や瘀血に通じ陰虚や水滞をも生じさせていくのです。またその逆もあるということなのです。これらの状態を招かない生活のあり方が、身体特に胃腸を冷やさない生活法なのです。ゆえに目覚めの一杯は温かいえんめい茶で胃腸を目覚めさせ気力を充実させて一日のスタートを切っていくということなのです。
胃病は意病とも言います。えんめい茶の原料は5種類というシンプルなブレンドです。このシンプルさが70年以上にわたって愛され続けてきた由縁かもしれません。その原料の中でも胃の健康に関わりのある和漢草が「エンメイソウ(延命草)」です。別名ヒキオコシ(引き起こし)の由来は、1200年前の名僧弘法大師空海が旅路の先で病に苦しみ倒れていた人にこの薬草を飲ませたところ、元気になり引き起こされる様に立ち上がったという伝承の話からです。古来より天寿を全うし志を成し遂げたいと願う「延命長寿」は、人々の願いなのでしょう。えんめい茶に込められた思いの原点には、身体の内側から湧き出る「氣」、身体を心地よく巡る「血」そして瑞々しい「水」が整え調和した健やかな体と康(安)らかな心の生活への願いがあります。