「食卓の人参」と薬用人参の違い

「食卓の人参」と薬用人参の違い

Mar 29、2024狩野森

ニンジンには多くの栄養が含まれていると言われていますが、「食卓のニンジン」と「薬用ニンジン」の違いはご存じでしょうか?今回はニンジンの違いと薬用人参の世界をご紹介いたします。


野菜の人参との違い

薬用の「人参」は、ウコギ科の植物で、古来より東洋では生薬として活用されてきました。一方、食卓に並ぶ野菜の「ニンジン」は、セリ科の根菜で、日本では両者とも「にんじん」と呼ばれていますが、植物分類学上は別の種になります。 江戸時代にセリ科の根菜が日本に入ってくると、本来の人参同様に肥大化した根の部分を持つことから「せりにんじん」などと呼ぶようになります。その後野菜として一般的になり、単に「ニンジン」と呼ばれるようになりました。これに伴い本来単に「人参」と呼ばれていたウコギ科の人参は、大きく分けて4種類あり、「薬用人参」と区別のために呼ばれています。

三七人参(ウコギ科トチバニンジン属サンシチニンジン)

三七人参(ウコギ科トチバニンジン属サンシチニンジン) 田七人参とも呼ばれる、中国南部の雲南省や広西チワン族自治区の海抜1200m~1800m という限られた地域に生息する紡錘状の根を持つ薬用植物。人参属植物の中では最も原始的な種と推定され、原産地周辺に住む苗(ミャオ)族たちは古来より生薬として用いていたといわれます。有効成分サポニンの含有量が非常に高く、朝鮮人参の何倍も含まれることから「人参の大様」とも呼ばれます。。16 世紀には薬学書「本草綱目」にその名が登場し、中国全土で知られるようになりました。

 

朝鮮人参(ウコギ科トチバニンジン属オタネニンジン)

朝鮮人参は別名高麗人参、御種人参などと呼ばれます。また国内で単に人参と呼ぶ場合は、この朝鮮人参を指す場合がほとんどです。中国遼東や朝鮮半島の原産で、現在中国東北部やロシアの沿海州まで広い地域で自生しています。古くから中国、朝鮮、日本で知られる薬用植物で、江戸時代には日本でも流通するようになりました。

竹節人参(ウコギ科トチバニンジン属トチバニンジン)

日本原産の薬用植物で、オタネニンジンと異なり、根茎に1 年に一節ずつ増える竹節状の結節があるのが大きな特徴となっています。オタネニンジンでは根を薬用部位として使用するのに対し、竹節人参は根茎を使用します。有効成分サポニンのほか、特有のチクセツサポニンも含まれています。

西洋人参(ウコギ科トチバニンジン属アメリカニンジン)

北アメリカ東部が原産で、アメリカの先住民にも古くから薬草として使用されてきた薬用植物です。18 世紀初頭にカナダ人によって発見され、その後中国人商人によって中国にもたらされたといわれています。広州や香港から世界中に輸出されるようになったことから、別名広州人参とも呼ばれています。

シベリア人参(Siberian Ginseng)

学術上は「ニンジン」ではありませんが、容姿が似ていることから「シベリア人参」と呼ばれ、日本では、北海道にのみ自生することから「蝦夷ウコギ」と呼ばれます。ロシアではエレウテロコック、アメリカではシベリア人参(Siberian Ginseng)、中国では刺五加(シゴカ)と呼ばれ、洋の東西を問わず優れた薬効を持つ植物として広く利用されます。

まとめ

今回はニンジンの種類に関してご紹介をさせていただきました。次回はそれぞれの素材を深掘りしてご紹介いたします。
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